個人で取得した酒類販売免許は法人成りした場合どうなる?

個人で取得した酒類販売免許は法人成りした場合どうなる?
1.法人成りしたときに事業を承継できる?

酒類販売業免許は、個人事業主としても、法人としても取得が可能です。
たとえば、これから開業する個人の方も、新しく設立した法人であっても、条件を満たしていれば免許の取得に支障はありません。
酒類販売業を行っていると、事業拡大や税務上の理由などから個人事業を法人化(法人成り)するケースがあります。
その際、個人時代に取得した酒類販売業免許の事業承継をすることができるのでしょうか?
ポイント:結論:承継できません
結論から言えば、酒類販売業免許は名義を直接変更して承継することはできません。
実務上は、「個人名義の免許」を一度返却し、改めて「法人名義」で新規申請を行う必要があります。
新規申請するとはいえ、すでに個人として酒類販売業免許を取得し、実際に酒類販売を行っていたという実績は、審査上プラスに働くことが多いです。
税務署も「過去に免許業者として適正に営業していた」という点を考慮するため、全くの新規参入者に比べると対応が比較的スムーズになる傾向があります。
ポイント;登録免許税などの費用も同様にかかります
個人事業で取得した酒類販売業免許を法人化(法人成り)する場合、名義変更ではなく新規申請扱いとなります。そのため、
- 登録免許税は再度納付が必要
- 小売業免許なら3万円
- 卸売業免許なら9万円
- 行政書士など専門家に依頼する場合は、代行報酬も新たに発生
という点に注意が必要です。
2.法人成りした際の手続きの概要

①法人成りに該当する内容
法人成りに該当する内容
- 法人成り
- 酒類販売業を営む個人が主体となって法人を設立する場合
- 酒類販売業者である複数の個人が合同で法人を設立する場合。
- 法人の合併
- 既存の酒類販売業者である法人同士が合併する場合
- 酒類販売業者である法人と別の法人が合併して新たに法人を設立する場合。
- 会社分割
- 会社法に基づく吸収分割または新設分割によって、酒類販売業を営む会社の営業の全部または一部を他の会社や新設会社に承継させる場合。(以下に該当するもの)
- 適格分割:法人税法上の適格組織再編に該当するもの、またはそれに準ずるもの(法人税法施行令で定める一定の株式保有要件を満たす分割)。
- 再生計画等に基づく分割:民事再生法による再生計画、または産業再生機構法に基づく事業再生計画に沿って行われ、事業の継続性が認められる分割。
- 会社法に基づく吸収分割または新設分割によって、酒類販売業を営む会社の営業の全部または一部を他の会社や新設会社に承継させる場合。(以下に該当するもの)
②法人成りしたときの流れ

法人成りしたときの流れ
- 法人として新たに酒類販売業免許を申請
- 法人成り後、法人名義で酒類販売業免許を新規取得します。
- 既存の個人免許は取り消し手続きが必要
- 新しい法人免許の申請と同時に、これまで使用していた個人名義の免許の取消申請を提出します。
このため、法人成り=名義変更手続きではなく、あくまでも新規申請+旧免許の取消という扱いになります。
③法人成りの審査の特徴

法令解釈通達第2編第9条《酒類の販売業免許》第1項関係14には、法人成り時の免許取扱いについての規定があります。
基本的には新規申請と同じ審査項目が適用されますが、次のような点が特に確認されます。
- 既存の販売場と同一の場所で営業を継続すること
- 既存販売場が「休業場」に該当しないこと
(1年以上販売をしていない場合などは休業場扱いとなり不可) - 人的要件・経営基盤要件を満たしていること
- 取消申請が同時に提出されていること
法人成りでも一から審査を受ける必要があり、税務署での審査期間も通常の新規申請と同様におおむね2か月程度かかります。
取得要件について詳しく知りたい方は下記からご確認いただけます。
許可要件の詳細は下記から
④法人成りの際に必要な申請書類

ポイント:個人申請の時にはなかった法人に必要な書類が増える
法人成りしても、新規で免許申請をするということになりますので、申請書類や提出書類は概ね同じです。
ただし、法人成りしたことによって、個人の時には必要なかった商業登記簿謄本などの資料が必要となります。
申請書類については過去の記事で詳しく解説していますので、下記からご確認ください。

ポイント:契約関連書類は再取得が必要
免許だけでなく、賃貸借契約書・フランチャイズ契約書・取引先との承諾書など、事業主体が個人から法人に変わることで名義の書き換えが必要となります。
免許申請と並行して、各契約関係の整理を進めることが重要です。
3.まとめ
以上、個人で取得した酒類販売免許は法人成りした場合どうなる?を解説いたしました。
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