輸出入酒類卸売業免許とは

輸出入酒類卸売業免許とは

行政書士が解説

1.輸出入酒類卸売業免許の概要

酒類を販売する際には、酒税法に基づき、各販売場ごとに、その販売場の所在地を管轄する税務署長から「酒類販売業免許」を取得する必要があります。

輸出入酒類卸売業免許とは、自己が輸出する酒類、自己が輸入する酒類又は自己が輸出入する酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいいます。

この免許は「輸出酒類卸売業免許」と「輸入酒類卸売業免許」の2つに分かれており、必要に応じて取得すれば良いので、必ず両方取得しないといけないわけではありません。

①輸出酒類卸売業免許と輸入酒類卸売業免許
輸出酒類卸売業免許と輸入酒類卸売業免許の違い
  • 輸出酒類卸売業免許
    • 自己が直接、海外の消費者や酒類取扱業者への輸出を行うことができる免許で、輸出のみが可能です。
    • EC(海外通販)サイトで販売する場合にも必要な免許
  • 輸入酒類卸売業免許
    • 海外から酒類を輸入し、日本国内の酒類販売事業者へ卸売することができる免許
    • 販売先は酒類販売業免許を取得している業者のみ
ポイント:輸入酒類卸売業の場合は表示義務あり

輸入酒類には、一定の表示義務が課されています。輸入者は、保税地域から酒類を引き取るまでに、その容器などの見やすい部分に、所定の情報を記載しなければなりません。これは「酒税の保全及び酒類業組合等に関する法律(第86条の5)」に基づく義務です。

具体的には、以下の項目を表示する必要があります。

  • 輸入者の氏名または名称、および住所
  • 輸入先(引取先)の所在地
  • 容器に入っている内容量
  • 該当する酒類の品目(例:ウイスキー、ワインなど)
  • 酒類の品目ごとに法令で定められている追加情報

表示については届出が必要となり、輸入する酒類が蔵置されている保税地域を管轄する税関にて行う必要があります。

②取り扱えるお酒の品目
輸出酒類卸売業免許と輸入酒類卸売業免許の取り扱えるお酒
  • 輸出酒類卸売業免許
    • 自己が輸出する酒類で品目に制限はなし
  • 輸入酒類卸売業免許
    • 海外から直接輸入した酒類で品目に制限なし

輸出入酒類卸売業の場合「輸出」「輸入」どちらも品目に制限がありませんが、取引が確定しているお酒の品目でしか販売することができません。

次項でその点については解説しています。

③その他の特徴
ポイント:自動的にあらゆる酒類の輸出入が許可されるわけではない

輸出入卸売免許という名称となっていますが、全ての事業者が全ての酒類の輸出入の免許が取得できるわけではありません。

申請時に提出した事業計画や書類の内容によって、取り扱える商品が変わったり、条件が課されたりします。

例えば、国外の果実酒のみを製造しているワイナリーから酒類を仕入れて、国内に販売する事業計画書を作成して、免許申請した場合には、「果実酒の輸入」卸売業免許が発行されます。

つまり、事業計画書に記載がない項目に関しては、免許を自動的に取得できることはありません。数多くの酒類を取り扱いたいのであれば、仕入れ先が複数の酒類を取り扱えるところが望ましいでしょう。

また、取引するお酒に関しては、後述している取引承諾書が必要となります。

2.免許取得要件

①他の販売業と同様の許可要件をクリアする必要がある

酒類販売業の免許取得要件

  • 場所的要件
    • 酒類販売を予定している場所が適切であること。
  • 経営基礎要件
    • 免許を取得して酒類販売を行う者(法人または個人)の資金、経営状態、経験が、酒類販売にふさわしいものであること。
  • 人的要件
    • 税金の滞納処分を受けたことがないこと。
    • 各種法令違反や罰則を受けていないこと(もし受けていた場合、一定の期間が経過していること)。
  • 需要調整要件
    • 酒類の仕入れや販売を適正な方法で行えること。
    • 販売価格や品質を適正に維持できること。

輸出入酒類卸売業免許は誰でも始められるわけではありません。
開始するためには上記の許可要件をクリアする必要があります。

これらの許可要件の詳細については過去の記事で解説していますので、下記からご覧ください

ポイント:登録免許税の納付が必要

酒類販売業免許の取得にあたっては、免許通知書の交付時に登録免許税を納付する必要があります。

輸出入酒類卸売業免許の取得の場合、1件あたり90,000円の登録免許税がかかります。

②取引承諾書の作成が必要
ポイント:仕入れ先と卸売先の両方の取引承諾書が必要

取引承諾書は、仕入先と卸売先(販売先)のそれぞれから1社以上取得する必要があります。
輸出入するための酒類販売業免許となりますので、国外から入手することが前提になるでしょう。

酒類販売事業者間でのみ取引ができる「卸売業免許」では、一般消費者や飲食店は取引先として認められませんのでご注意ください。

取引先になり得るのは「輸出酒類卸売業免許」と「輸入酒類卸売業免許」で下記のように変わることが考えられます。

②−1輸出酒類卸売業免許の取引先

輸出酒類卸売業免許の取引先

  • 輸出酒類卸売業免許
    • 仕入先:国内の酒類販売業免許取得業者
    • 販売先:国外の業者(一般消費者でも可能)

販売先が一般消費者であっても、海外向けに販売することは輸出事業となり、輸出卸売業免許が必要となります。

ポイント:販売先が国外の一般消費者の場合は取引承諾書は不要

酒類卸売業免許は酒類販売業免許を取得した相手先に対して、酒類を販売する際に必要な免許です。

もし、仕入れ先が、不特定多数の一般消費者の場合には取引承諾書は不要です。
一般消費者相手にECサイトなどを利用して販売する場合には、取引承諾書を取得しようがないので、そのような見解になります。

②−2輸入酒類卸売業免許の取引先

輸入酒類卸売業免許の取引先

  • 輸入酒類卸売業免許
    • 仕入先:国外の酒類販売業者
    • 販売先:国内の酒類販売業免許取得業者(卸売業者)

輸入酒類卸売業免許の場合には、仕入れ先、販売先双方ともに取引承諾書が必要です。
ただし、仕入れ先が海外のECサイトの場合などは、取引承諾書を取得しようがないので、不要とされる場合もあります。

ポイント:一般消費者相手に販売するなら小売業免許が必要

輸出入卸売業免許は卸売業免許のため、一般消費者には販売できません。
輸入したお酒を一般消費者に販売する場合には酒類小売業免許も併せて必要です。
店頭販売や営業所と同じ都道府県の一般消費者に販売するなら「一般酒類小売業免許」通信販売をするなら「通信販売酒類小売業免許」が必要です。

②−3取引承諾書のその他の注意点
ポイント:全ての取引先から取得する必要はない

取引承諾書は、仕入先・卸売先それぞれから1部ずつ取得すれば十分であり、すべての取引相手から取得する必要はありません。

取引承諾書には、以下の項目を記載する必要があります。

取引承諾書の記載項目
  • 宛名
  • 承諾内容
    • 「酒類卸売業免許を取得した際には、酒類の取引を承諾する旨」
  • 日付
  • 住所
  • 記名・押印
    • 海外の場合はサイン
ポイント:海外での取引の場合は和訳が必要

海外の取引先から取引承諾書を取得する際には、英文で準備することもあります。全文が英語(またはその他の外国語)の取引承諾書の場合、税務署の審査担当者から和訳を求められることがありますので、あらかじめ英文に和訳を添えておくとスムーズです。

取引承諾書に定められた様式は特にありません。
申請者が自ら準備し、取引先から取得する必要があります。

3.まとめ

以上、輸出入酒類卸売業免許について解説しました。

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