洋酒卸売業免許とは

洋酒卸売業免許とは
Contents
1.洋酒卸売業免許とは
前置き:高まる国産ウイスキーの需要

ポイント:国産ウイスキーの販売ができる
近年、サントリー「山崎」や「白州」、ニッカの「竹鶴」など、国産ウイスキーの品質が国内外で高く評価され、プレミア価格がつくほど需要が急増しています。市場では「手に入らないウイスキー」として注目を集めており、特に買取・販売を行うリサイクルショップや専門店にとっては、大きなビジネスチャンスとなっています。
こうした中で注目されているのが、「洋酒卸売業免許」の活用です。洋酒卸売業免許があれば、消費者に対する小売だけでなく、業者間での卸売も可能になります。つまり、自店で仕入れた人気の国産ウイスキーを、他の販売店や飲食店へ卸すことで、販路を拡大し収益を安定させることができるのです。
また、国産ウイスキーは限られた流通量ゆえに取引先が確保しにくい状況もありますが、卸売業者としての立場を築くことで、信頼性や交渉力も高まり、仕入れルートの強化にもつながります。
ウイスキー市場が今後さらに成長していくことを見越しても、「洋酒卸売業免許」の取得は、中長期的に見て非常に有効な選択肢です。今のうちに体制を整え、チャンスを逃さない準備を進めておくことをおすすめします。
① 洋酒卸売業免許の概要

酒類を販売する際には、酒税法に基づき、各販売場ごとに、その販売場の所在地を管轄する税務署長から「酒類販売業免許」を取得する必要があります。
洋酒卸売業免許とは、果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒及び雑酒の全て又はこれらの酒類の品目の1以上の酒類を卸売することができる酒類卸売業免許をいいます。
②取り扱えるお酒
具体的に洋酒の例を挙げるとすると、下記のようなものが当てはまります。
洋酒に該当する品目
- 果実酒
- 甘味果実酒
- ウイスキー
- ブランデー
- 発泡酒
- その他の醸造酒
- スピリッツ
- リキュール
- 粉末酒
- 雑酒
洋酒の具体例
- スコッチ
- バーボン
- 国産ウイスキー
- キュラソー
- ベルモット
- 梅酒
- ジン
- ウォッカ
- ラム
- テキーラ
- 赤酒
- ワイン
- スパークリングワイン
- シェリー
- ベルモットなど
ポイント:日本酒・焼酎・ビール・みりん以外のお酒が取り扱い可能
ポイント:国産・外国産どちらも取り扱い可能
洋酒であれば、国産酒でも輸入酒でも販売することが可能です。
したがって国産ウイスキーなども洋酒に該当します。
洋酒は日本酒・焼酎・ビール・みりん以外のお酒であると考えるとわかりやすいです。
③その他の特徴
ポイント:「洋酒」であれば海外でも販売可能
国産・外国産に関わらず、洋酒に分類される10品目のみを取り扱うことができる卸売業免許です。この免許で該当する品目の酒類を扱う場合、輸出入酒類卸売業免許がなくても、酒類の輸出入は可能です。
つまり、海外でも販売することができます。
ポイント:海外なら飲食店や一般消費者に販売可能
卸売業免許の場合には、飲食店や一般消費者相手に対して、販売することができないと先述しましたが、これは「国内」の飲食店や一般消費者相手に限ります。
つまり、海外に洋酒を輸出する場合には、個人やレストランに販売することが可能です。
ポイント:輸出入酒類卸売業免許との違い

「輸入酒類卸売業免許」と「洋酒卸売業免許」どちらも同じことを言っているのではないかと思いますよね。具体的に違いを見てみましょう。
輸入酒類卸売業免許と洋酒卸売免許の違い
- 輸入酒類卸売業免許
- 自己が直接輸入した酒類のみを取り扱うことができる免許で、取り扱う酒類の種類に特別な制限はありません。ただし、税務署の判断や提出した事業計画によって、取り扱う酒類の品目が限定されることが一般的です。
- 例)日本酒・ビール・焼酎・みりんなどの「洋酒」に該当しない酒類を輸入販売する場合
- 洋酒卸売業免許
- 果実酒、甘味果実酒、ウイスキー、ブランデー、発泡酒、その他の醸造酒、スピリッツ、リキュール、粉末酒、および雑酒などの「洋酒」を卸売するための免許です。「洋酒」に該当する酒類であれば、国産・外国産を問わず卸売することが可能です。
- 例)ワインやウイスキーなどの洋酒を輸入卸売する場合。
2.免許取得要件

①他の販売業と同様の許可要件をクリアする必要がある
酒類販売業の免許取得要件
- 場所的要件
- 酒類販売を予定している場所が適切であること。
- 経営基礎要件
- 免許を取得して酒類販売を行う者(法人または個人)の資金、経営状態、経験が、酒類販売にふさわしいものであること。
- 人的要件
- 税金の滞納処分を受けたことがないこと。
- 各種法令違反や罰則を受けていないこと(もし受けていた場合、一定の期間が経過していること)。
- 需要調整要件
- 酒類の仕入れや販売を適正な方法で行えること。
- 販売価格や品質を適正に維持できること。
酒類販売業免許は誰でも取得できるわけではありません。
開始するためには上記の許可要件をクリアする必要があります。
これらの許可要件の詳細については過去の記事で解説していますので、下記からご覧ください
許可要件の詳細は下記から
ポイント:登録免許税の納付が必要
酒類販売業免許の取得にあたっては、免許通知書の交付時に登録免許税を納付する必要があります。
洋酒卸売業免許の取得の場合、1件あたり90,000円の登録免許税がかかります。
②取引承諾書の作成が必要

ポイント:仕入れ先と卸売先の両方の取引承諾書が必要
取引承諾書は、仕入先と卸売先(販売先)のそれぞれから1社以上取得する必要があります。
- 仕入先
- 蔵元やブルワリー、ワイナリーなどの製造業者や、酒問屋、インポーターなどの卸業者が含まれます。
- 卸売先
- 酒屋やスーパー、コンビニ、デパートなどのお酒の販売業者が該当します。
酒類販売事業者間でのみ取引ができる「卸売業免許」では、一般消費者や飲食店は取引先として認められませんのでご注意ください。
ポイント:全ての取引先から取得する必要はない
取引承諾書は、仕入先・卸売先それぞれから1部ずつ取得すれば十分であり、すべての取引相手から取得する必要はありません。
取引承諾書には、以下の項目を記載する必要があります。
取引承諾書の記載項目
- 宛名
- 承諾内容
- 「酒類卸売業免許を取得した際には、酒類の取引を承諾する旨」
- 日付
- 住所
- 記名・押印
- 海外の場合はサイン
ポイント:海外での取引の場合は和訳が必要
海外の取引先から取引承諾書を取得する際には、英文で準備することもあります。全文が英語(またはその他の外国語)の取引承諾書の場合、税務署の審査担当者から和訳を求められることがありますので、あらかじめ英文に和訳を添えておくとスムーズです。
取引承諾書に定められた様式は特にありません。
申請者が自ら準備し、取引先から取得する必要があります。
ポイント:仕入先が一般消費者の場合は取引承諾書は不要
酒類卸売業免許は酒類販売業免許を取得した相手先に対して、酒類を販売する際に必要な免許です。
もし、仕入れ先が、不特定多数の一般消費者の場合には取引承諾書は不要です。
仕入れ先が一般消費者の例
- 遺産整理業を行なっており、不用品であるお酒を客から買い取っている
- 古物商を行なっており、持ち込まれたお酒を買い取っている
③酒類販売の経験が必要

酒類卸売業免許申請の手引には、洋酒卸売業免許を取得する際の経営基礎要件に、3年以上の酒類販売の経験が必要な旨が記載されています。
ポイント:3年以上の酒類販売の経験が必要
3 酒税法 10 条 10 号関係の要件(経営基礎要件)
ト 経験その他から判断し、適正に酒類の卸売業を経営するに十分な知識及び能力を有すると認められる者又はこれらの者が主体となって組織する法人であること【洋酒卸売業免許、店頭販売酒類卸売業免許、協同組合員間酒類卸売業免許及び自己商標酒類卸売業免許に係る申請等の場合】
酒類卸売業免許申請の手引きより引用
1 酒類の製造業若しくは販売業(薬用酒だけの販売業を除く。)の業務に直接従事した期間が引き続き3年以上である者、調味食品等の販売業を3年以上継続して経営している者又はこれらの業務に従事した期間が相互に通算して3年以上である者。
2 酒類業団体の役職員として相当期間継続して勤務した者又は酒類の製造業若しくは販売業の経営者として直接業務に従事した者等で酒類に関する事業及び酒類業界の実情に十分精通していると認められる者。
※ なお、これらの従事経験や経営経験がない場合には、その他の業での経営経験に加え「酒類販売管理研修」の受講の有無等から、①酒類の特性に応じた商品管理上の知識及び経験、②酒税法上の記帳義務を含む各種義務を適正に履行する知識及び能力等、酒類の卸売業を経営するに十分な知識及び能力が備わっているかどうかを実質的に審査することになります。
ポイント:酒類販売の経験がない場合には研修の受講で要件を満たせる場合がある
もし業務経験がない場合には、「酒類販売管理研修」の受講などで酒類販売の知識や能力を評価されることもあります。
要するに、酒類販売業免許は「酒類販売管理研修」を受講することによって、経営基礎要件を満たすことができる場合があるということです。
とはいえ、確定申告書3年分が書類として必要となるため、少なくとも3年間は何かしらの経営経験がある必要があります。
ポイント:酒類販売管理研修とは
酒類販売管理研修とは、研修実施団体が提供する酒類の販売業務に関する法令を学ぶ研修のことです。
この研修では、酒類販売管理者が20歳未満と思われる者への年齢確認の実施や、酒類の陳列場所での表示など、販売業務において遵守すべき法令に関する事項を学びます。
また、アルコール飲料としての酒類の特性や商品知識なども修得し、管理者としての資質向上を図ります。
これにより、販売場における酒類の適正な販売管理の確保と実効性を高めることが目的とされています。
4.まとめ
以上、洋酒卸売業について解説いたしました。
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